サプライチェーン・ショック
自然災害により混乱したサプライチェーンの間接インパクトをモデル化
概要
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このプロジェクトでは、自然災害影響でビジネスが中断してしまう問題に対処するために、サプライチェーン・ショック・モデルの開発を目指している。オックスフォード大学のドイン・ファーマー教授と協力し、マルチ・エージェント・モデリングを使用して間接的なサプライチェーンリスクを測定する。事業中断保険の料率設定、リスク管理のアドバイス、ポートフォリオ企業のリスク評価などで使用する予定。専門家への聞き取りを行い、サプライチェーンデータを構築し、既存の災害モデリングを使用する。初期の研究はセクターレベルの分析に焦点を当て、その実現可能性を検証した後に企業レベルの分析に進む。
詳細
背景
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自然災害は、企業に直接被害を及ぼさない場合でも、サプライチェーンの混乱により間接的に影響を与える可能性がある。間接影響は、重大な社会的問題を引き起こす。アメリカでの研究によると、主要な自然災害の後に40%のビジネスが再開しないことが示されている。サプライチェーン・ショック・モデルは、これらの間接的リスクを定量的に見積もることを目指している。
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このモデルのユースケースは以下。
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事業中断保険の料率に、対象企業の利益損失およびビジネス継続費用の要素を反映。
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自然災害に直面するビジネスに対するリスク管理コンサルティング。
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投資ポートフォリオ企業のリスク評価。
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研究開発
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この研究は、オックスフォード大学のドイン・ファーマー教授と彼が設立したオックスフォード大学スピンアウトのマクロコズムとの共同プロジェクト。ファーマー教授は、エージェント・ベースト・モデリング、金融不安定性、技術進歩を含む経済学の専門家。
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このモデルは、マルチ・エージェント・モデリングを使用し、各会社を独立したエージェントとして表現して、サプライチェーンの影響をシミュレートする。
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サプライチェーンのデータは、外部ソースと業界の専門家への聞き取りにより構築し、MS&ADグループによって使用される確立された災害モデリングソフトウェアを活用して災害の規模を推定する。
次のステップ
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このプロジェクトは、より単純な業界(セクター)レベルの分析から始まり、約6ヶ月を要すると予想される。実現可能性の検証に成功した場合、より詳細な企業レベルの分析に進む。この段階的アプローチにより、特定の企業に適用する前に、モデルのテストと精緻化が可能となる