高齢ドライバーの事故を予防
高齢者の運転挙動から認知機能低下のサインを特定
概要
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日本では高齢化の急速な進展とともに、認知機能の低下が原因と考えられる高齢ドライバーによる交通事故が増加し、社会問題となっている。AIOI R&D LAB-OXFORDは、あいおいニッセイ同和損保の膨大なテレマティクスデータを活用し、マインド・ファウンドリと共同で、ドライバーの認知機能低下の兆候を示す運転パターンを検出するアルゴリズムを研究開発。この技術の実装により、一人でも多くの高齢者による悲惨な事故を予防すべく、開発したモデルを検証中。当該ソリューションは日本のみならず、世界的な応用の可能性がある。
詳細
背景
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日本は世界の高齢化の先頭を走っている。2020年時点で人口の4.7%の6百万人が認知症を患っているが、高齢化が進展し、2040年には7.3%の8百万人に増加すると予測されている(内閣府)。そして、高齢者が引き起こす交通事故が増加し、社会問題となっている。
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あいおいニッセイ同和損保は、テレマティクス保険の契約件数が180万件となり、1400億km(地球365万周分)の運転データを蓄積(2023年9月時点)。
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交通事故が多い年代層は若者と高齢者層。前者はスキル不足と無謀運転、後者は認知機能の低下が主な原因と考えらえる。世に出ているテレマティクス保険は主に前者に対応するもの。
仮説
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膨大なテレマティクスデータ(運転挙動データと事故データ含む)と高度な機械学習を使い、大学・医療機関と協働することで、運転挙動から認知機能低下の兆候を検知するアルゴリズムが開発できる。それにより、情報を契約者に還元したり、運転アドバイスを行うことで、高齢者の交通事故を減らしたり、運転寿命を延ばすことが出来る。
研究開発
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データについては、損害査定の専門家が、ドラレコから取得した事故動画をマニュアルで認知機能の低下が原因であろうもの、そうでないものとにラベル付けを行った。
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本プロジェクトでは、当該データを含む膨大なテレマティクスデータ、事故データを用いて、認知機能の低下により事故を起こしたと考えられる契約者と同じような運転をしている契約者の特徴をつかむアルゴリズムをマインド・ファウンドリと共同開発した。
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アルゴリズムの設計にあたっては、契約者へ情報還元することを考慮し、説明可能な特徴量を用いた。
次のステップ
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現在、アルゴリズムの検証中。今後、大学や医療機関と連携し、精度を高めていく。
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本件課題は世界共通であり、国外展開を視野に入れている。その第一歩として、欧州あいおいニッセイ同和では、英国で、政府助成金を獲得し研究を開始している。
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